こんにちは、くにのりです。
リアルタイムはアイスランドの東側にいます。
のはずだったのですが、昨日宿に着いたら、
オーナー
「とんでもねぇ嵐が来るんだ!!!今すぐにでも逃げた方がいい!」
僕たち
「・・・」
オーナー
「もちろんキャンセル料なんてとらねぇよ!!!俺が天候をコントロールできたらよかったんだけどなぁ!ハッハッハ!」
ということでアイスランドの西側に逃げてきました。
まるで何かを叫ぶかのごとく、風がゴォゴォと唸りをあげています。
真っ暗闇を3時間ぶっ続けで運転して逃げてきてよかったです。
ありがとうオーナー。
ということでブログをしたためたいと思います。
本日は10月15日、キエフで教会巡りをしたときについてです。
よろしくお願いいたします。
キエフで教会巡り!の前にややこしいウクライナの宗教事情をお勉強
キエフには美しい教会があるので見に行きたいと思うのですが、どうせなら背景知識があった方が良いと思い、お勉強してみました。
ググってサクッと終わらせるつもりが意外にややこしくて難儀してしまいました。
せっかくだからブログに書かせていただきます。
実は歴史的なウクライナ正教会の独立
ちょうど僕たちがウクライナを訪れるタイミングでウクライナ正教会が独立しました。
かなり大きな歴史的出来事らしいです。
そんなこと言われたって・・・な感じで僕は全くピンときません。
ということでまず正教会について。
①キリスト教は4世紀にローマ帝国が国教としたことで一気に広まる
②その後、ローマ帝国が東西に分裂、11世紀にキリスト教も東西に分裂
→西方教会(カトリック)・東方教会(正教会)に分かれる
③正教会の大きな特徴は1カ国ごとに1教会をおき組織を管理すること
正教会についてはこんな感じです。
キリスト教が分裂してできた片一方の組織です。東ヨーロッパ版キリスト教です。
なんで分裂したかは様々な要因があるらしいのですが、ざっくりいうと権力闘争です。
人間集まれば良いこともありますが、揉め事も増えるのが常みたいです。
続いて、ウクライナの宗教の歴史。
①ウクライナ(当時はキエフ大公国)は正教会に属すことに決定
→キエフ総主教庁の誕生
②キエフ大公国(キエフ・ルーシ)が滅びて、傘下にあった教会が独立
→ロシア正教会が誕生
③ウクライナが一時的に復活
→ウクライナ正教会(キエフ総主教庁)も復活
④ロシア正教会がウクライナ正教会(キエフ総主教庁)を編入
→ウクライナ正教会はモスクワ総主教庁管轄になる
⑤ソ連崩壊、ウクライナ独立!ウクライナ正教会も独立を求める!
→ロシア正教会の管轄にあるウクライナ正教会とロシア正教会からは独立したウクライナ正教会ができる
ざっくりこんな感じです。
正教会は1カ国ごとに1教会をおき組織を管理するはずなのですが、ウクライナの場合、
①ロシア正教会の管轄にあるウクライナ正教会=モスクワ総主教庁系
→ウクライナ国内の信者は少ない
②ロシア正教会からは独立したウクライナ正教会=キエフ総主教庁系
→ウクライナ国内の信者は多い
の2つに分裂してしまいました。
そして、正教会としてちゃんと認められているのはウクライナ国内において信者の少ない①のモスクワ総主教庁系のウクライナ正教会の方です。
だったのですが!
2018年10月11日
②のキエフ総主教庁系のウクライナ正教会も正教会としてちゃんと認められました。
これが歴史的出来事です
なぜ歴史的出来事なのかというと、
①ロシアの大国としてのアイデンティティが揺らぎかねない
②ウクライナの国家アイデンティティの強化
③影響あるんじゃない!?
というところがポイントです。
①ロシアの大国としてのアイデンティティが揺らぎかねない
ウクライナ正教会(キエフ総主教庁系)の独立が認められるということは、そもそもロシア正教会が行った上記④のロシア正教会がウクライナ正教会(キエフ総主教庁)を編入は無効だったことを意味します。
ということは、ロシア正教会にとってキエフは管轄外の関係のない場所。
キエフはロシアにとって聖地扱いなのですが、大切な大切な聖地が管轄外になってしまうのです。
キエフ大公国(キエフ・ルーシ)がキリスト教を受容し正教会に属したことは、東ヨーロッパにキリスト教が広まるきっかけとなりました。
ロシアにとって、ロシア正教会がキエフ総主教庁を継承するということは、当時の東ヨーロッパの大国であったキエフ大公国(キエフ・ルーシ)をロシアが継承しているということも意味し、ロシアの大国としての正当性の根拠・アイデンティティの一部にもなっています。
ロシアという国名の由来はルーシからきているぐらいなのでとっても大切です。
ウクライナ正教会(キエフ総主教庁)の独立
=キエフはロシアにとって関係ない場所
=キエフ・ルーシとロシアには何の繋がりもない
ということは、大国ロシアのアイデンティティが揺らぐという意味で、世界では歴史的出来事と評価されているそうです。
②ウクライナの国家アイデンティティの強化
①の裏返しにもなりますが、「ウクライナ正教会(キエフ総主教庁)の独立」というのは、キエフ大公国(キエフ・ルーシ)と現在のウクライナの宗教面での繋がりが認められたことを意味します。
現在のウクライナは反ロシア感情が強いこともあり、
・キエフ大公国(キエフ・ルーシ)のルーツはロシアではなくウクライナにある
・ウクライナ正教会はロシアから独立した存在である
ことが確認されるのはウクライナ国家のアイデンティティの強化に繋がるそうです。
③影響あるんじゃない!?
「ウクライナ正教会(キエフ総主教庁)の独立」はロシアにとってはマイナスな出来事なので当然反発しています。
ロシア正教会寄りの他国の正教会も存在しているため、それらの国々はウクライナ正教会の独立を認めない意向を示しています。
そのため、世界の正教会組織が二分されてしまう恐れがあるのです。
また、世界の正教会はいくつかの〇〇総主教庁や△△正教会といった組織構成となっています。
人口の多いウクライナ国民の過半数が信者であるウクライナ正教会がコンスタンティノープル総主教庁の傘下になることで、コンスタンティノープル総主教庁の影響力が増し、正教会世界での力関係が変わってくる可能性もあります。
さらにはロシアにとって、ロシア正教会というのは軍事力やエネルギーと同様に世界に対する影響力行使のツールの1つであるのですが、その影響力の低下が考えられ、国際関係へも何らかの影響が波及するかもしれないと囁かれています。
・・・
教会巡りの様子を書くつもりだったのですが、教会を巡る前にしたネットサーフィンの知識をまとめるだけで長くなってしまいました。
すみません。
僕はキリスト教に全く馴染みがないので物事の流れとして理解はできても、正直あまりピンときません。
それでも、数々の宗教戦争があったり、バチカン市国なる国があったり、荘厳で豪華絢爛な教会があったりすることから、キリスト教という宗教や教会組織がヨーロッパにおいて多大なる影響力があることはなんとなく感じます。
そして、現在に至るまで長い間、領土や民族自決をかけて争ってきた歴史から、国家としてのルーツがどこにあるのかといったアイデンティティが持つ意味も、国の正当性を信じる・主張する上でとてつもなく大きいのだと思います。
このタイミングでウクライナに行ってなかったら、ウクライナとロシアのこんな事情なんて知る由もなかったので、タイミング良く来れて幸運だったなと思います。
正直知ってどうする的なところもありますが、知らないよりは知っておいた方が良いと思うので、やっぱりよかったと思います。
興味がある方はこちらの記事を見てみてください!
ロシア側から見ればまた違った捉え方になるかもしれないのですが、そんなパワーはありませんでした。
長くなってしまうので、教会巡りの様子は明日のブログにしたためたいと思います!
お付き合いいただきありがとうございました。
kuni
くにのりさん、こんにちは。現地の方が物凄いと言うのですから、冬の台風のような感じでしょうか。オーナー、無事でしょうか。何も無い事を祈ります。
正教会でそんな出来事があったのですね。勉強になりました。ありがとうございます。
ウクライナは西へ行くとカトリックの方が増えていくそうで、西方ヨーロッパとの繋がりを感じます。
イスラム教や仏教も、権力継承に起因する分裂と思想的相違の分派発生があって中々複雑ですよね。じっくり勉強すると面白そうではありますが。
らいらさん、いつもありがとうございます!
優しいオーナーが無事であることを僕も祈ってます。アイスランド気象庁のWEBサイトでも警報が出ていたので避難してきてよかったです!
最後まで読んでいただきありがとうございます!めちゃめちゃ嬉しいです!
確かにウクライナもリヴィウにある教会は西ヨーロッパでよく見かける教会と似ていました。
イスラム教や仏教もそうですよね。
同じ宗教でもいくつかの宗派ができ、さらには権力闘争が起き、それらが国家と相互に影響を及ぼし合うのは歴史として興味深いですよね。
勉強するのにかなりパワーが必要そうですが、せっかく無職放浪中なので、何冊か本でも読んでみようと思います!
くにのり